Classici giapponesi con furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate
十年間も、木村君と、鼻をつき合わせていたくせに、駒の動かし方さえも、私は知らないのである。
作品の中の銭形平次は、囲碁は、おっそろしく下手糞で、将棋の方は、やったことがない。自分では、気がつかなかったが、
「やっぱり、作者が出るものですなあ」
と、ある人に指摘されて、なるほどと思ったことがある。私も、若い時は、いくらか、碁石を握ったが、むろん、初段にも、一級にもなれるようなしろものでなく、それに、ある事件が動機となって、中途で、ぴたりとやめてしまった。このことは、別に、また書いてみてもいい。
話を木村名人にもどして、私が、木村義雄という人を、最初に、おや? と、思ったのは、おそろしく行きとどくことなのである。私より、二十歳は若いはずだから、私が四十代だったとして、まだ二十幾歳……いわば、人生の初年兵である。それなのに、給仕だの、小使だの、交換手だのという人に対して、われわれでも、気がつきかねるほど、行きとどくのである。
「これは、大変な人間だ」
と、私は、ひそかに舌をまいたが、その後、だんだんと、木村君の苦労話をきき、日蔭の時代に、ひとから受けたほんのちょっとしたまごころが、どんなに嬉しかったかということを知った。