후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
しかし私をのけぞる程駭かしたものは、雲の厚襖を突き破って兀立した北岳の巓であった。北から西からのしかかるように盛り上った頂線は、力余って東の方に倒れんとしている。夫を六十度余りも傾きながらガッシリと受け止めた線の膨らみ、まるで青竹を撓めたようである。真黒な岩壁、濃緑の偃松、青いのは草原か、其中に象眼された数点の白いものは残雪であろう。私は眼の前に突き出された巨大の拳固のように、勁い力の籠った山の姿を瞳に烙きつけながら「よし、来年はあれに登ろう」と独語して、偃松の露に浸した手拭で顔を洗った。
午前五時に独り朝食を済して支度を整え、人夫に山の名など聞きながら、空模様を窺っていた、雲は容易に霽れそうもない。そのうち主人公も起きて小屋の外へ出たが、この天気では信号も駄目だといわれたので、思い切って七時に下山の途に就いた。二十分も下るともう雲の中である。高山植物に心を惹かれるでもなく、小鳥の鳴く音に耳を楽しませるでもない単純な登山者が眺望を奪われては、残る期待された興味は、一筋の路が如何に変化して行くかにかけられていた。巨岩と白砂と、急峻な岩稜と、一歩一歩この期待は裏切られなかった。