후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
秩父の奥山
何の為に山へ登るか。自分は此稿を書こうとして、筆を持ったまま考に耽っていると、不図心の奥でひそやかな声がそう囁いた。
然し自分は今茲にそれを論じようとしていたのでは勿論ない。唯秩父山脈が首都に近い割合に、相当の高さと深さと大さとを有し、麓に一ノ瀬、梓山、栃本などの愛す可き山村を抱いて、二、三泊の旅行ならば、充分に楽しい愉快な山の気分を味わうことが出来るのに、登山者の少ないのはどういう訳だろうと訝しく思っただけである。言わばわが娘に縁談の遠いのを不思議がる親達が「何故だろう」と首を捻るのと似たようなものであろう。
昔の人は信心で山に登った。従って山の大さ高さ深さなどは、別に問う所でない。勿論初めて其山を開いた僧侶とか行者とかは、各自に信仰の芽生えが一度わが信徒の胸に萌え出したならば、益々深く且堅く其根を張るに都合よき条件――森林、瀑布、奇岩、噴湯、火口、火口湖等の如き――を備えているらしい山を選んだものに相違ないことは、言う迄もあるまいが、信条の命ずる儘に黙って向上の道を辿る信徒に取りては、登山そのものの外他に何等の目的が有る可き道理はない。こんな生一本なひたむきの登山は昔の人に限られた特権であった。