일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면

아오조라 문고

敢て此山許りではない、行く先々の名称不明の地点に対しても、便宜の為に縁のありそうな名前を勝手に付けたものが少くない。帰京後私の手の届く限り此辺の山に関する古い地図や地誌の類を漁ったのであるが、記録を有する山は一として見当らなかった。されば現に其地の猟師や山稼ぎの人などが用いる称呼に従わなければならぬ訳であるが、夫が出来なかったのは遺憾である。

夫よりも遺憾であったのは針木以南の連嶺が雲の為に見えなかった事だ。遠い南方の空は真夏らしい輝きを帯びた純白な積雲の塊が崩れては湧き崩れては湧いている間から、針木岳の尖頂だけが目ま苦しく出没する。扇沢から吹きげられた千切れ雲が気紛れに手を伸して、時々祖父岳の額を撫でに来るが、双尖を聳やかした鹿島槍ヶ岳の威容に懾えて、慌てたように黒部の大谷に逃げ込む。五竜岳、唐松岳の空線が天半を截って、大地震の震波のような線を描く。其処から一段高く破風を抜き上げて、大伽藍の岩の屋根を見せているのが奥不帰岳の連嶂だ。雪の漆喰がボロボロに剥げ落ちて、赭茶化た石の瓦に偃松の古苔が蒼黝く蒸している。鑓ヶ岳、杓子岳から力の籠った線が緊張の度を倍加して、朝日岳の肩越しに大蓮華山の尖鋭なる峰頂を一刀に刻み上げている。