후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
泡立つ水が声を揚げて其根方に搦みついてはすういと流れて行く。水声が聞えなくなると皆雪の上に下り立って、無駄話に耽りながら雪渓を登り始めた。別山続きの尾根が正面に旭を受けて、其処にも多量の雪が眩ゆい光を放っている。殊に別山の大カアールに続く真砂谷の雪渓は、殆んど直線に近い姿を真竪に顕わして、三つばかりの瀑の白泡が丁度、上から目に見えぬほど静に辷り落ちて来る雪の塊を、其儘巨大な唐箕か何かで吹き散しているようだ。この静寂な朝の谷間で動いているものは、私達の一行と其瀑の水とより外には無いように思われた。
真砂谷の落口から劒沢は八ツ峰の裾を大きく右に廻って、日陰に這入るとまるで冬の朝のように寒い。紫ばんだ灰色の空気は冷たくどんよりとして、物の蔭という蔭にねばりついている。うら寂しい夫でいて兎の毛で突いたほども隙間のない引き緊った気分が、何か想像にも及ばない痛快な「だんまり」の幕の開かれる前の舞台に臨んだような感じを起させる。しかし実際此舞台に上ったものは、私達が長次郎谷の入口に着いて谷の空を見上げた時、一頭の羚羊が雪渓を横切って八ッ峰の岩崖に其姿を隠したに過ぎなかった。