후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
「何です? 其処は寒いから、家へ寄っておあたりなさい」
と頭の上から親切な言葉を懸ける。
「ヤー、有難う、ナニ山を見ているんです」
三人は其処を立って間もなく柳沢峠を登り始めた。二人は足が疾い。鬚男は後から苦しそうに跟いて行くが、兎角遅れ勝だ。峠を下ると下から馬に乗った男が登って来た。
「オイ、酔払いらしいぜ、わるいな、地図を借りっ放しにして」
洋服の人が綿入れの人に話しかける。何でも二人は此春旅行して小河内の温泉に泊ったとき、山の話をしていると、隣座敷から酔払いが出て来て、登山にはさして役に立たない丹波山附近の地図を借して呉れたのを、其儘未だに返すことを忘れていたのだ。尤も地図は既に二人の手を離れて今は鬚男の許にある。
「構やしないさ、向うじゃとうに忘れているよ」
鬚男がいう。果して赤い顔の酔払先生は、摺れ違っても知らずに通り過ぎてしまった。三人は落合から高橋、それから犬切峠を踰えて十時半に一ノ瀬に着いた。
小春日和の長閑な日影は、見るから平和そうな此山ふところの村に相応しい光を投げて、霜溶けの路からも枯草の上からも淡い陽炎が立っている。犬切峠の頂上から瞰下ろして、穏かな懐かしい村だと思ったのが、近づいて更に懐しさを加えた。