후리가나로 읽는 일본 고전
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したやそうわ
下谷叢話
永井 荷風
永井 荷風의 下谷叢話(したやそうわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 122,971자 · 246화면
祖母に育てられた児の俚諺にも三文やすいと言われているのも無理ではない。わたくしは小石川なる父母の家を離れて下谷なる祖母の家に行くことをいかに嬉しく思ったであろう。当時の事は既に「下谷の家」と題した一小篇に記述した。雑誌『三田文学』の初て刊行せられた年の同誌に掲げんがため筆を秉ったのであるから、これさえ早く既に十四、五年を過ぎている。
下谷の家は去年癸亥九月の一日、東京市の大半を灰にした震後の火に燬かれてしまった。わたくしが茲に下谷叢話と題して下谷の家の旧事を記述しようと思立ったのは、これによって聊災禍の悲しみを慰めようとするの意に他ならない。
下谷の家はわたくしの外祖父なる毅堂鷲津先生が明治四年の春ここに居を卜せられてより五十有二年にして烏有となった。その日下谷の家にはわたくしの伯父母とやがてその後を嗣ぐべきわたくしの弟貞二郎とその妻と児女三人とが住んでいた。幸にして老幼一家皆恙なく、相扶けて難を上野公園に避けたのである。
下谷の家の旧主人鷲津毅堂は江戸時代の末造から明治の初年にわたって世に知られた儒者である。向島白鬚神社の境内に毅堂の姓名を不朽ならしめんがため、その事蹟と家系とを記した石碑が今なお倒れずに立っている。