후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
其一の南に面して砂地を抱えた大岩の根方が私達の今宵の泊場所剣沢の岩屋である。
痺れるような水に漬って汗に汚れた体を洗った、余り冷いので一分間とも入って居られぬ。下着を着換えてサッパリした気持になって帰って来ると、賑やかな食事が始まる、変化に富んだ今日の旅もこれで終りを告げたのかと思えば、何だか不思議なからくりでも覗いて来たような気がする。日はとっぷりと暮れて薄曇りのした空には、弱々しい星の光がそれでも冷たく冴え出した。皆より先へ天幕に這入って工合のよさそうな所へ横になる、うるさい程高い瀬の音もいつか眠を誘う子守謡のように快よく耳に響いて、それが次第に遠ざかって行く、体が端の方から溶けて安らかな心臓の鼓動のみが残る、私達の穏かな夢は静かに枯草の枕を伝って岩から小石へ小石から砂へと河原一面に沁み込んで行くように想われた。この後幾年或は幾十百年の間に此谿谷を旅してこの岩屋に一夜を明かす多くの人の中には、懐いを此岩屋に泊ったことのある前人の身の上に馳せて、其多感なる心と電流の如く交通するなつかしい夢の跡を偲ぼうとする者がないとも限るまい、其時こそ恐らく河原の砂や小石の一つひとつから強く印象された私達の夢の囁きを聞くことであろう。