후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
まだ可なりの距離があるらしい。
「随分あるな、昼までに行けるかしらん」
「行けるだろう、遠いようでも歩るいて見ると案外近いものだ」
「遠くって近きは山の中か」
「馬鹿」
一喝して洋服の人がウッハッハッハーと笑い出す。
邪魔な木立を避けて成るべく切明を離れぬように山稜を辿るのであるが、低い枝が横に乗り出して動ともすると谷に追い落されそうだ。木立が薄らぐと、暖かい光がさっと流れて、笹の叢立ちが深くなる。倒木が多い。鬚男は昨日から左の膝の関節を痛めて、曲げる度に油の切れた機関のようにギイギイ音がする。それを庇う様に跛ひきながら歩くので、笹に埋れた倒木に行き当ると乗り越すに手間が取れる。二人はドンドン先へ行って、気が付くと立ち留っては待っている。ホラノカイや椹谷の源頭に当る秩父側は、針葉闊葉の混淆樹林が谷を埋め尽して、何処を水が流れているのか音も聞えない。恐ろしく丈の高い笹原を下り切ると椹谷と大常木谷との鞍部へ出る。谷から谷を路らしいものがつないでいたが、果して人の通った跡か夫とも獣の路であったか、其処までは確められなかった。
同じように長い笹を押し分けて、間もなく栂の繁った山腹を登り始める。