후리가나로 읽는 일본 고전
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
永井 隆의 ロザリオの鎖(ロザリオのくさり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,351자 · 213화면
本人は耳をもっている、目をもっている、しかもまだ脚が動くのでどこへでも出歩く。夫人は八方に絶えず神経を使わねば防ぎきれない。来客があれば取り次ぐ前に玄関でこっそり口止めを頼む。手紙葉書の来そうな時刻には門口に見張っていて、受け取ったらまず検べてからでないと渡されぬ。訪問してゆきそうな先々へはあらかじめ出向いて注意をしてもらう。自分もまた心の涙を外に見せぬようつとめて笑っておらねばならぬ。このいわゆる神経戦にはほとほと夫人も疲れはてた。
夫人の顔色はにわかに悪くなった。さすがに長年連れ添うた神官がそれを見逃すはずはない。ある朝彼は自分の白ひげのつやを調べたその手から鏡を妻に渡した。夫人はわが顔色の衰えを見たが、これは病気じゃなくて精神の疲れでしょうとうっかり口をすべらせて、はっとした。しかし単純な神官はそれを生活苦のことと解釈し、老妻を元気づけるため白ひげをしごいて、あははははと高笑い、なあに心配するのももうしばらくじゃ、息子がビルマから帰ったらすぐに嫁を迎えてわしらは菊でも作ろうよ、と言った。夫人はぐっと目の底から突き上げる熱いものを抑え、出ぬ声をしぼり出して夫の笑い声に合わせて笑った。