후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
然し秩父の連山は一点の曇も無く、ちぎれ雲の漂う南の空に、紫を帯びた藍の透徹るような色に聳えているのが堪らなく嬉しかったのである。東上州から見た冬の秩父連山は、啻に色彩がうるわしい許りでなく、自分には更に懐しい思い出の湧く山である。或年の冬であった。日は御荷鉾山の後に落ちて、其あたりの天は黄金色に輝き、夫より地平線に沿うて東するに連れ、樺色桃色草色と色美しく凪ぎ渡った夕暮の空に、紫と紺とを濁らぬ程に混ぜて、幾度か塗り上げたような深い色の秩父連山が、劃然と画き出されたのをふと心付いて眺めた時には、未だ十一、二の少年であった自分も、紙鳶の糸を巻くことさえ忘れて、磁石に吸わるる鉄のようにひたと眼を引き付けられて仕舞った。怪しくも山に魅入られた自分は、其以来山を愛する外に仕方無かった。十月の末、夏は草雲雀の楽しい住家であった桑の葉が、人の跫音にもかさかさと音がして、脆くも落ち散って了った桑畑の上に、遠近の山が鮮かに望まれる日が多くなると、水の涸れた田圃の小溝に枯柴を敷いて、其上に仰向けに寝転びながら山を見て居るのが楽みであった。西北の風がそよそよと吹く好晴の日には、目路のはてにそそり立つ高い山の巓を、赤蜻蛉が列を作ってすいすいと飛び越して行くのが面白いと思った。