후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
入口は横にあって、這入ると右の帳場の前から長い廊下が続いている。左は炊事場であろう竈が築いてある。濡れたものを乾すように頼んで草鞋を脱ぐと、二階の一室に案内された。どの部屋もがらんと空いている。湯治客は下の座敷に自炊している者が三、四人だけで、それも近く里へ帰ってしまえば、もう来春まで湯治客は絶えるとのことである。
浴槽は下手の別な建物にあって、板屋根は湯気に包まれている。湯は二本の樋で導かれ、二の浴槽に湛えているが、質は各違っているそうだ。温度は誂向きである。長々と手足を伸して首まで湯に漬る。濃かい感触のいいぬくもりが皮膚を撫でながら体内へ滲み込んで行く。うっとりと気が遠くなる。
温泉は前の川中にも湧いている。鬼怒川は対岸の二丈余りある崖の下に白い石の洲を残して、岩をこづきながらぐるり北へ廻って流れる。其河原の石の間から湯気が立ち昇っている。崕からも二、三箇所湯がにじみ出して、岩面に湯垢が木目のように附着している。此湯は日光沢の温泉宿が押流された明治三十五年の大洪水に浴槽を埋められて以来、今は少しの水にも浸るので其儘に放置してある。崖から川面へ突出した一本の槭の紅葉が薄暗い二階の障子に赤く映っている。