후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
水、水。私は人には構わず先に立って中ノ谷をドンドン下った。三、四町も行くと広いが急な雪渓に下り立つ。長次郎が続いて来たので、連れ立って遥か下に見える河原をさして急いだ。途中左側に天幕を張れるほどの平を見かけたが、高い崖の近くだけに飛石が危ないと長次郎がいう。皆後から下りて来た。南日君は妙な足取りで雪渓ばかり下りて来るので、見ている人には危くって仕方がない。左側の斜面へ移るように下から怒鳴るが、聞えたのか聞えないのか、矢張り雪の上を辿って来る。後で聞くと足袋が小さいので爪先が痛いから、わざと雪を下りたのだと腫れ上った指を見せる。可なり水量のある大きな沢が左から雪渓に落ち合っている上手の河原へ荷を卸して、手の切れるような冷い水で顔を洗ったり体を拭いたりしている中に、河原が均され天幕が張られて、めらめらと勢よく燃え上る火の上で大鍋が沸々音を立てる時分には、冷え切った体にも温い血が循り始めた。
一しきり華やかであった夕栄の色がふっつり消えると、あたりが急に暗くなる。黒部の大谷では鉛色の雲が稍や暫くの間、生れ故郷を探しあぐねた放浪の子のようにのろのろ動き廻っていたが、やがて下へ下へと沈んで、山の精霊が浮み上ったように透明な肌を持った岳の額から、既望の月が冴えた光を送って来た。