후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
賑かな青蜩の声を聞いて、毛布を体に巻きつけながらそっと天幕から這い出した。見ると、星影のうすれた狭い谷間の空を一道の白気が黄道光の如く東から西へ流れている。雪渓の雪が先ず其光を吸って仄に輝き始める。何処かで角笛でも吹くような木兎の叫声が二度三度聞えると、夫が合図ででもあるように鼠色の衣をすっぽりと被った「闇」は、木蔭から木蔭に身を潜めて、忍びやかに杳かの谷底――黒部の大谷をさしてぞろぞろと下りて行く気配がある。今度は時鳥が頻りに鳴き出した。大きな焚火を前にして煙草を吹かしていると、東の空が遠い火事でも始まったようにぽうっと赤く燻り出して、夫が見る見る紫がかった透明な薄桃色に変って行く。大蓮華山から唐松岳に至る連嶺が、紫紺の肌を水色の大気に洗わせて、目を覚むる許り鮮かになった。
水に不自由がないので、楊子を使ったり復た体を拭いたりして、身拵が済むと朝飯になる。土地が低い所だけに昨夜は暖かだったし、割合に能く寝られたので今朝は皆元気だ。直ぐ側の水楊の林で鶯が囀ずる。其声に送られて茲を出掛けた。昨日下りた雪渓をまた峠まで登って、あの厭な笹原を潜るのは少し馬鹿念が入り過ぎると思ったので、雪渓の途中から南側の山腹を穿った急な石滝を登り始める。