후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
金作が声を掛ける。「諸共でも死ぬのは厭だよ、大丈夫かい」。こんな戯談を云う丈に余裕の出来た私達は、小さな窪を目懸けて手足に吸盤を持った雨蛙のように壁面に飛び付いた、同時に金作が両腕を攫んで易々と次から次へと送って呉れる、大岩の斜面へ出て皆ホッと緩やかな息を吐いた。
動もすると霧の中に姿を見失おうとする長次郎の足早いのに驚きながら、割合に楽な登りを続けて、小山のような巨岩の堆積を向う側に下ると、平な雪渓の上端に長次郎が休んでいる。長次郎谷の下り口に来たのだ。この附近の岩は真黒な色に苔が蒸して、偃松が緑の毛氈を敷き延べる、其間に珍車が咲く、岩梅が咲く、さっきのように荒けた光景はもう何処にも見られない、丸で嘘のような感じがする。不用になったカンジキは重いから此処に残して、頂上を指して急いだ。
乱石の急階段を躡んで一歩一歩絶巓に近付く、此処まで来ると何とはなしに一種の親しさが胸の奥から湧いて、それがあたりの空気と溶け合って懐しい声――山の囁きが心耳に聞えるようだ、暗い不安の影は幻のように消えて跡もない。山稜はいつか草と偃松とを粧うた高原状の緩い斜面となって、眼の前にポーッと雪田が顕われる、雷鳥が一羽それを横切って向うの岩蔭に雪白の翼をちらと覗かす。