일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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めいあん

明暗

夏目 漱石

夏目 漱石의 明暗(めいあん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 322,590자 · 645화면

아오조라 문고

食堂へ入る前の彼女はいまだかつて夫の事を念頭においていなかったので、お延に云わせると、こういう不可抗な心の作用は、すべて夕飯後に起った新らしい経験にほかならなかった。彼女は黙って前後二様の自分を比較して見た。そうしてこの急劇な変化の責任者として、胸のうちで、吉川夫人の名前を繰り返さない訳に行かなかった。今夜もし夫人と同じ食卓で晩餐を共にしなかったならば、こんな変な現象はけっして自分に起らなかったろうという気が、彼女の頭のどこかでした。しかし夫人のいかなる点が、この苦い酒を醸す醗酵分子となって、どんな具合に彼女の頭のなかに入り込んだのかと訊かれると、彼女はとても判然した返事を与えることができなかった。彼女はただ不明暸な材料をもっていた。そうして比較的明暸な断案に到着していた。材料に不足な掛念を抱かない彼女が、その断案を不備として疑うはずはなかった。彼女は総ての源因が吉川夫人にあるものと固く信じていた。

芝居が了ねていったん茶屋へ引き上げる時、お延はそこでまた夫人に会う事を恐れた。しかし会ってもう少し突ッ込んで見たいような気もした。帰りを急ぐ混雑した間際に、そんな機会の来るはずもないと、始めから諦らめている癖に、そうした好奇の心が、会いたくないという回避の念の蔭から、ちょいちょい首を出した。