후리가나로 읽는 일본 고전
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めいあん
明暗
夏目 漱石의 明暗(めいあん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 322,590자 · 645화면
御者は先刻から時間の遅くなるのを恐れるごとく、止せばいいと思うのに、濫りなる鞭を鳴らして、しきりに痩馬の尻を打った。失われた女の影を追う彼の心、その心を無遠慮に翻訳すれば、取りも直さず、この痩馬ではないか。では、彼の眼前に鼻から息を吹いている憐れな動物が、彼自身で、それに手荒な鞭を加えるものは誰なのだろう。吉川夫人? いや、そう一概に断言する訳には行かなかった。ではやっぱり彼自身? この点で精確な解決をつける事を好まなかった津田は、問題をそこで投げながら、依然としてそれより先を考えずにはいられなかった。
「彼女に会うのは何のためだろう。永く彼女を記憶するため? 会わなくても今の自分は忘れずにいるではないか。では彼女を忘れるため? あるいはそうかも知れない。けれども会えば忘れられるだろうか。あるいはそうかも知れない。あるいはそうでないかも知れない。松の色と水の音、それは今全く忘れていた山と渓の存在を憶い出させた。全く忘れていない彼女、想像の眼先にちらちらする彼女、わざわざ東京から後を跟けて来た彼女、はどんな影響を彼の上に起すのだろう」
冷たい山間の空気と、その山を神秘的に黒くぼかす夜の色と、その夜の色の中に自分の存在を呑み尽された津田とが一度に重なり合った時、彼は思わず恐れた。