轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

春雪写山行「旅」1940(昭和15)年4月<br>黒部川峡谷の話「山岳 第十二年第一号」1918(大正7)年2月<br>枯木の美と怪「国立公園」1952(昭和27)年3月<br>雪山と廃道「山 二巻二号」1935(昭和10)年2月<br>七面山冬ごもりの記「山小屋」1947(昭和22)年<br>黒部川初遡行の追憶「山と渓谷」1939(昭和14)年7月<br>大雪山あれこれ「国立公園」1955(昭和30)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 页

青空文庫

変った人物が温泉を見舞い出す。刺子絆纒を着て、肩に長大なヤスを担いでくる。ヤスは、長さ二間半からある竹竿の先きに、鉄製の大きくて岩丈な叉手がはめてある。叉手の斜めに突き出た、長短四本の指の先端には、おのおの鋭い「返り」がついている。重さは一貫二、三百匁はあるという。これが鱒捕りの漁夫である。秋風と共に、鱒が早くも日本海から、この急流へ溯りはじめたのだ。もう夏のうち浴客が、半日岩の上に坐りこんで、一尾二尾と釣ってきた、五、六寸のではない。二、三尺から、大きいのは四尺にあまる。

釣橋の上から眺めていると、この魚ののぼってくるのが、見える、と言いたいが実は、教えられてようやく、それと分る。それほど、馴れぬ眼には見分けにくい。白く砕ける急湍から、青く渦巻く深潭へ、深潭から又急湍へ――大きな鉈の背を見るような黒影が、視線をかすめて、スッと過ぎてゆく。かの漁夫は、岸の大岩を小楯に、身をひそめ、魚の影を斜めにうかがいながら、矢頃をはかる。いざや! 二間有余のヤスを、もろ手で水平に、頭上いっぱいに差し上げつつ走ると見るや、つッと射るがごとくにヤスは投射され、自分も勢いに引かれて、半ば水中に躍りこむ。