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やまのじんせい

山の人生

柳田 国男

山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页

青空文庫

六

とにかくに彼らが平地の村から、移住した者の末ではないことは、自他ともに認めているのです。これと大昔の山人との関係は不明ながら、山の信仰には深い根を持っています。そこでこの意味において、今一応考えてみる必要があると思うのは、相州箱根・三州鳳来寺、近江の伊吹山・上州の榛名山、出羽の羽黒・紀州の熊野、さては加賀の白山等に伝わる開山の仙人の事蹟であります。白山の泰澄大師などは、奈良の仏法とは系統が別であるそうで、近ごろ前田慧雲師はこれを南洋系の仏教と申されましたが、自分はいまだその根拠のいずれにあるかを知らぬのであります。とにかくに今ある山伏道も、溯って聖宝僧正以前になりますと、教義も作法もともに甚だしく不明になり、ことに始祖という役小角に至っては、これを仏教の教徒と認めることすら決して容易ではないのです。仙術すなわち山人の道と名づくるものが、別に存在していたという推測も、なお同様に成立つだけの余地があるのであります。

六

土佐では寛永の十九年に、高知の城内に異人が出現したのを、これ山みこという者だといって、山中に送り還した話があります。ミコは神に仕える女性もしくは童子の名で、山人をそう呼んだことの当否は別として、少なくとも当時なおこの地方には、彼らと山神とのなんらかの関係を、認めていた者のあったという証拠には