轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

07 第七分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页

青空文庫

本堂は桐紋の幕に囲まれていた。それも、廻廊も、階も、梅雨湿りで水気を含んでいないものはない。

秀吉の歩んでゆく所、甲冑の人影が、次々出迎えた。営中はすでに仄暗く、随所、短檠の灯やかがりが点っている。彼は、客殿とみゆる一室にようやく坐った。

「おつかれも嵩みましょう」

しとねを並べて、一客が坐していた。堀久太郎秀政である。

信長の下向に先だって、中国に着く予定の日取やら、陣営の準備、ほか万端を、秀吉と打合わせておくため、一足さきに、これへ来ているものだった。

「いや、戦陣生活もよく身についた。近頃はとんと、不自由とか、疲れとかを覚えない」

秀吉はそう笑って、

「稀に、安土へ上がると、御主君までおいたわり下さるが、ふいに厚い衾などに寝ると、却って寝苦しゅうて、よう眠れぬ。……具足のまま、手枕かって、戦いのひまに、ごろりとやる一睡の味は、戦場ならでは貪れぬ無上のものでな」

――その語につづいて、

「食事はなされたか」

「まだでございますが」

「では、いっしょに戴こう」

と、小姓を顧み、

「支度をいそがせい」

――と命じながら、

「彦右衛門は、いかがいたした?」

と、たずねた。