轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
07 第七分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页
寂火
前の夜、春長軒父子は、信忠などとともにおそくまで信長の前に語らい、官邸に帰って眠ったのはかれこれ三更に近かった。
そのための熟睡も、今朝の不覚をなした原因といえよう。彼の職分としても、尠なくとも明智勢が洛内へ足を踏み入れると同時にこの変を知るべきであった。また知るや否、すぐ前の本能寺へ寸前にでも急を告げていなければならない。
何もかも油断だった。だが油断は実に信長ひとりだけでなく、市中に宿泊し、或いは在邸していた者すべてにあったといってよい。
「何事か外が騒がしいようで」
と、初めに起されたときも、春長軒はまだ、かかる大事とは覚らず、
「喧嘩でもあるか。見て来い」
と、配下にいった。それから悠々起床にかかる間、土塀門の屋根上で、小者が、
「錦小路あたりに煙が立ちのぼっております」
というのを聞いても、
「また、尿小路の失火か」
と、舌打ちして呟いた程だった。
それほど世は泰平と錯誤していたのである。ゆうべも今朝も、実に変らぬ戦国下の一日であり、その中の都でもあることを、ふと忘失していたのである。
「なに。明智勢が?」
と、仰天したのは、それから一瞬ともいわない直後であって、