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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
07 第七分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页
檄
中国にはいま誰がいる?
ふたりは不問不語のうちに、次代の期待をべつの人間に賭けていたのである。そしてそこは一緒に出たが、淀附近まで行くと、
「では、ここで」
「途中、気をつけたがよい。いやお互い様に」
と、西と東へ袂を分った。
檄
この朝、明けかけた空は、ふたたび暗くなった。本能寺から立ちのぼる煙は全市の上を蔽い、町筋は人影ひとつ見えず、蕭殺の気にみちていた。
凝然、うごかざる兵二千騎は、堀川の堤に集結したまま、ひとしく一天の黒煙を仰ぎ合っていた。
光秀を中心として、ここに帷幕している荒木山城守、奥田宮内、諏訪飛騨守、御牧三左などの諸将も、
「吉左右はいかに?」
と、先手の情勢を刻々に案じながら、まさに、かたずを呑むの思いで、伝令の騎馬を待つのであった。
すでにその使番は二度までもここへ、
――お味方は築土をこえ、一斉に御堂内へ雪崩れ入って候。
と伝え、すぐ後からまた、
――全殿に火を放け、右大臣家の側衆もあらまし討ち取り、当の御方の御首を挙ぐるもやがてのうちに候わん。
とも報じてはいたが、それ以後の伝令はまだない。
で、本陣の将士は、
「十のうち九つまでは、もうわが軍のものだ。