轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

07 第七分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页

青空文庫

宗仁の書面は彼の指に解れた。極めて短文であり、また非常な走り書である。――が、一読卒然として、秀吉の頸もとの毛は、燈火にそそけ立っていた。

「…………」

「…………」

各※(二の字点、1-2-22)控え目に膝を退げて坐っていたが、秀吉の頸から耳のあたりまで、さっと色が変ったので、久太郎秀政も、弥兵衛長政も、彦右衛門正勝も、思わず身を前へのばして、

「……殿。……殿ッ。いかがなされましたか」

こう三人の者に左右から訊かれたとたんに、秀吉ははっとわれをよびかえしていた。一読してせつなに眼もかすみ、心気も昏くなっていたのであった。

そしてふたたび、書中の文言を疑うように、眼をそれへ努めてみたが、疑うべくもない文字の上へ、はや滂沱と涙がさきにこぼれていた。

「――これは。何としてのおん涙ですか」

「常にもない御容子」

「宗仁の書中。何事かおかなしみのことでも告げてまいりましたか」

この際、三名が、ひとしく察し取ったことは、長浜にのこしている秀吉の老母の身であった。

陣中、稀にでも、国元のはなしが出るときは、かならず老母のことをいう秀吉であった。秀吉が母を語るときは、小姓部屋の子どもらともかわらない思慕をあらわしていうすがたを誰もみな眼に見ている。