轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

こちらの胸のうちを覗きこんだような堀の斡旋を考えると、あんなに好都合に行ったことが腹立たしく、むしろ敵愾心が刺激され、彼はうずうずした。空腹と疲労から来る神経の昂ぶりであったかも知れぬ。いずれにせよ、あの男のことを考えると膂力が全身にみなぎって来た。

「待っていろ!」

彼は闇のなかでそう顎をしゃくった。そして、力をためすように肩をどんとぶっつけて戸をあけた。

「はあ?」という抑えつけた叫びが聞えた。それから絶え入るように、「おかえりになりました」とうめきごえを立てた。

彼の小屋のなかでは二人の女がしんみりと語りつづけていたのである。ちょろちょろと燃える炉火を間にして、聞いたり聞かせたりするうちに、おんな心はどんどんほぐれて来た。それぞれの苦しみに身体もちぢまるようであった。

戸口の物音は、二人の女を驚かした。しかもその瞬間を境いにして、二人の女の気持は水と火のように懸けはなれた。脅えたように叫んだ一人はつと浮き腰になり、すぐ何かいすくめられたように身体をこちんと固くした。他の女は手拭きを帯に挾んで見るからにいそいそと立ちあがった。主人を迎えた主婦の顔は焚火のうす明りにもいきいきと輝いていた。