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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
第四章
一
やがて蜿蜒としたイシカリ川に合するのであった。秋の陽がすッとかげった。空近く風が吹きあれていた。彼らの頭上の樹林を、音立てて際涯なく吹きすぎた。
第四章
一
きり開かれたその路には、あかるい光りが溢れていたのだ。何よりも無邪気に、すッと愁眉をひらいたのはおんなどもであった。落ち着くところが見つかれば、それがどれほどいぶしいところでも、先ず吻ッと肩をおとすのであった。全く彼女ら女房どもは、測り知れない男の心ひとつに追いすがっていた。その男さえ方途にまようような来る日来る日は、文字通りさまよい歩く気持であった。いくらかは疲れていた。
――こんなに樹木が繁茂した肥沃な土地に住みつくなら、それはそれで満足できるにちがいない。男たちの気持がそういう自分のそばに寄り添ってくれる。
男たちは行く先々に見透しを持った。粗末な智識ではあったが、彼ら農に帰ろうとする面々は土に対する見解を深めたのだ。うむれた朽葉の下で、ほのぼのとした温かみをたたえている厚い腐蝕土を、「これはなかなか――」と自分にうなずき、口のなかで云った、「聞きしにまさるよい土地でござるよ」
おのずからそれらの気持がぴったり吻合した。