轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
河口の黒い水をかきわけてここまで上って来る。目あてのはとばに船を停めてしまい、あるいは、もやっている船々の間に挾まれて錨を投げる。すると、帆柱は立てたままでも船の姿は見えなくなるのであった。かき抱かれたような安堵をおぼえてほっとした。街の裏がわは層々とかさなった砂丘つづきであった。触れればこわれそうな白い砂丘は、離れて一つずつ見るとおもちゃのようで、しかし、近づいて登ると、それはそれなりに四方を展望する高台の起伏になっていた。北方に漂渺と見えたのはタンバケの岬か。西にかすんでいるのはオダルの海であろう。わがイシカリの街は、うしろに向きをかえて、彼の鼻の下にあった。云いつたえにもないほどの遙かな昔から生きものが棲みついた。南に陽を受けたそこのほとりで、川は、ゆるやかに層をなして淀み、気味わるいほど大きな淵をなしていた。時節が来ると、産卵期をひかえた鮭や鱒が、群れをつくって、目ざましいほど水の色をかえるのであった。そして、ひたすらそれを待ちかまえていたアイヌらが小屋のなかからあらわれて来る。
西蝦夷のイシカリは古くから聞えた漁場の名であった。漁利を追う和人が出没するようになったからである。