轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

白い眼をじろじろと上向きにして、そこの障子を見つめていた。

新任された開拓監事兼陸軍中佐の堀盛は、ゆるやかなきぬ摺れの音をひびかせて笏を、ふりまわしながらやって来た。衣冠をつけた正式の礼装であった。そのためでもあろうか、日ごろは下ぶくれのしたあのあお黒い彼の顔に、今日はめずらしく赤い血のいろが見えるのだ。腫れぼったい瞼のあいだに、茶ッぽい瞳がいつもの通り挾まれていたが、それはそれなりに、びい玉のようにぎらぎら光っていた。

甚助はあわてた。まさに不意の襲げきであった。こごんで竹の皮包みをまるめだしたが、そのときぎくッとくりがとびだしてしまった。あッと思って意気ンばった。すると、※(「口+穢のつくり」、第3水準1-15-21)くりはまたぎくンとつきあげて来た。

「いや、はや」と、阿賀妻は甚助の背中をたたいた。

「お食事中か」と、堀はおこったような声で見おろした。

阿賀妻は向きなおった。

彼は懐紙をだしてていねいに口をぬぐった。拭い了ると彼はぴッと襟をただした。

「しつ礼いたしました」

そして、堀と属官が座につくのを口をゆがめて見ていた。

堀は身体ごとぐるッと一まわりして、爪先でひき寄せた敷ものの上にどっかり坐った。