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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

先ずさし当り米味噌であった。沖に沈みかけている大きな船の修理に力を貸すことであった。

こうなってしまえば、彼らに取っては風水の災いとそれほど異いはしないのだ。

脇差を腰にした男たちの挨拶にはぶるぶると身が顫えた。

――ここは志津川湾に沿う小邑であった。海の難所である金華山沖を外洋の彼方に控えて、おびただしい津波と漂流の伝説の下で生きて来た。何十年か前にはロシヤの黒船が漂着した。カムチャツカから千島の沖を流されて、彼らは初めてここに一つの島国があることを発見したのである。近海に赤えびすが現われたそもそもの初めであった。あるときは逆の潮に乗せられて、沖漁に出た船がそのまま行方を晦ました。難破をまぬかれた幾艘かがロシヤの領土カムチャツカに漂い着いたそうだ。夷人に促われて夷人の都に拉し去られた。近ごろはその上に、血なまぐさい戦乱が沖を走っていた。幕府の海軍奉行が黒船七隻をひきつれて疾走する、間もなく佐賀藩の軍艦を中心に編制した新政府の海軍がやって来る。宮古湾に仮泊したところを幕軍がふいに逆襲した。甲賀源内の指揮する回天艦が乗りつけたのだ。彼らは刀を揮って官船内に突入した。