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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

どうしても一ッ走りと考えついた。深い雪のなかであった。路と云うべきものも無かった。「その代り、――」と彼は相田清祐に云った。ほかのものも、見たい思いを満して欲しかった。「その書面なるものを拝見いたしましょう、官のものには、拙者申しひらきを致します」

「お咎めを受ければ、われら一同の罪」

相田清祐はそう云ってしまうと心が決った。

厳重な封をばりばりと破った。

そうだ、――これは、一日が千日の思いで待っていたものだ。彼らは相田清祐の周囲を取りまいてまるくなっていた。前のものは雪の上にうずくまり、その後のものは立て膝になり、後のものは棒立ちになっていた。読みあげる言々句々は状景となって動いていた。阿賀妻は一別以来の模様を隠すところなく書いたのだ。はじめは何か痛い思いがした。残しておいた美しいものが頽れて行った。「さりながら――」と相田清祐は声をたかめた。「候――」をそろと軽くひびかせて、「殿のご心中、即ち、われらの真意を知るものも無きにしもあらず、おいおいご同意なされ候方々、左記の通りにござ候、――柳川源達どの、同じく春勝どの、岩橋貞助どの、岩崎栄太郎どの、同じく久治どの」