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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

個人としての親しげな態度にはぴんと刎ねかえすものがあった。身分から来るなじめないものの反撥であった。けれども堀は語りつづけた。

馬は、さい前阿賀妻の歩いた路を、逆に、ぱかぱかと急いでいた。馬の背の上にいて、原野の展望を指で差し示しながら堀大主典は喋っていた。

「阿賀妻さん、ごらん下さいましたか? サッポロ府の広袤は方一里、オダル、ゼニバコ街道とチトセ越えの本願寺街道も通じました、――これを取り巻く農村は、庚午一、二、三と合せて九十六戸の二百人、サッポロ村は二十二戸の九十六人が昨年でした、今年になっては、ツキサップに盛岡県人四十三戸百八十五人、ヒラギシには士族平民取りまぜて六十五戸、シノロに四十二戸、ツイシカリに二十四戸、バンナグロに三十九戸、やがてイシカリ川の向う側にも、先ずオヤフロに二十九戸が予定されています、シライシ、テイネには、白河の家中片倉小十郎の旧臣百五十七戸が引きうつってまいります、ごらん下さい、あの開墾小屋を――樹幹をすかして点在する村々を――けれど、北海道全体から考えれば、こんな移民は数にはいらない、その殆んどが強制移民であればなおのこと――あなた方はちがいますよ、先ずサッポロを中心に、兵農兼備の屯田兵を養わねばなりません、ご承知でしょうか――国内で争っているうちにオロシャはカラフトを完全