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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
おりゃあ、学がないけ、よそのこた知らん。しかし、この若松には、ちゃあんと、太陽があるんじゃ。吉田磯吉という大太陽が、昼でも、夜でも、ギラギラと、かがやいとるんじゃ。馬鹿にするな」
返事が出来なくなって、黙った。「それに」と栗田は、懐から、一枚の印刷物をとりだして、「これを見りゃあ、お前等の魂胆は、一目瞭然じゃないか」それは、解説や、配役を印刷した、公演に関するリーフレットだった。「フン、やることが荒けねえのう。……おい、これは、なんじゃ?――会社の犬、吉田? 犬の吉田が、スキャップを抱きこむ?……スキャップ、ちゅうのは、裏切り者ちゅうことじゃろうが。……その犬の吉田が、おしまいにゃあ、争議団員から、袋だたきに逢う?……ようもまあ、仕組みやがったもんじゃなあ」
勝則たちは、おどろいた。意外のいいがかりである。原作も、脚本も、そうなっているのであって、けっして、作中の「吉田」と、「吉田磯吉」とを結びつけたわけではなかった。偶然の一致だ。呆然となっていると、
「こげなこた、みんな、玉井金五郎の奴の差金にちがわん。金五郎の方には、別に、挨拶をする。なんでも、ええ。