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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
以上がトスカネリの手紙なのである。これはポルトガル王を動かすに至らなかった。一四七一年に黄金海岸まで到達し、急速にアフリカ回航の歩度がのびようとしていた時だからである。ところが数年の後、一四八〇年から一四八二年の間に、コロンブスはトスカネリと文通して、右の手紙と地図との写しを見せられたのである。「この時までは彼は単純に一人の船員であった。この時から彼は発見者となった」(do. S. 225.)とさえ云われている。彼は遅疑するところなくトスカネリの考に賛成し、その実行の決意を云い送ったらしい。トスカネリは激励の手紙を寄せた。
「余は西に向って航せんとする貴下の意図を賞讃する。貴下が余の地図に於て既に見た如く、貴下の取ろうとする道が世人の思うほど困難でない、ということは余の確信である。反対に余の描いたあの地方への道は全く確実なのである。もし貴下が、余の如く、あの国土に行って来た多くの人々と交際したのであったならば、何の疑懼をも持たなかったであろう。そうして有力な王たちに逢い、あらゆる宝石の充ち溢れた繁華な町や州の多くを見出すことを、確信するであろう。