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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

三 秀吉の宣教師追放令

孝高の嗣子黒田長政も、秀吉から豊前の父のもとへ派遣されたとき、父にすすめられて洗礼を受け、熱心な信者となった。

そのような情勢のところへ、高山右近もまた秀吉に従って西下して来たのであるから、九州征伐に際して陸からも海からも十字の旗が押し進んで行ったといわれるのは、必ずしも誇張ではない。

三 秀吉の宣教師追放令

秀吉は尾張の農民の子から日本の絶対権力者にまでのし上って来た男である。因襲の力をはねのけて赤裸々の実力に物を云わせるという当時の社会的情勢を、彼ほどはっきりと具現している人はない。従って彼はまた、何人でも、才能さえあれば、身分が何であろうと、その奉ずる宗教が何であろうと、かまうことなく抜擢し起用した。小西行長、黒田孝高なども、その顕著な例なのである。従って彼は、宗教的偏見などは持たず、人に対して極めて自由な態度を取った筈である。しかるに彼が宣教師たちに与えた印象は、信長ほどに好くなかった。信長の死の当時、その後継者として急に注意され始めた秀吉について宣教師たちの記しているところは、すべて同情のない調子である。秀吉が「勇猛」で、「戦争が巧い」ということ、「身分や家柄が高くない」