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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

四 インド洋制海権の争奪

それを国民ははっきりと感じたのであった。

「インド洋制覇地図」のキャプション付きの図

インド洋制覇地図

四 インド洋制海権の争奪

がこの貫徹は同時に新しい海の企業の出発であった。インド貿易を続ける気ならば、久しく香料を独占していたモール人との真面目な争闘を覚悟しなくてはならぬ。信仰上の敵対関係はこの争闘を極めて深刻ならしめるであろう。そこには平和的解決の見込はない。しからばここで、武装し戦闘準備を整えた商業に出で立たなくてはならない。それには威圧的な艦隊が必要である。

ここにおいて政府は、十隻の大船と三隻の小船よりなる新しい艦隊を建造した。ガマはその企画や監督に当りはしたが、司令官とはならず、親友ペドラルヴァレス・カブラルがその位置についた。乗員は千二百。前回の五倍乃至八倍である。その中に宣教師や商人もまじっていた。

このカブラルの航海は、一五〇〇年三月九日発、途中ブラジルの海岸に接触し、その報告に一隻を帰した。(既に緑の岬で一隻を帰しこれで二隻目である。)その後喜望峰に向う頃二十日の間あらしに逢い、遂に四隻の難破船を出した。他にマダガスカルの東に迷い出たのもあり、カブラルの手に残ったのは六隻となったが、インド洋は八月に十六日間で横断した。