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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
七 横瀬浦の没落
伴の家臣たちも洗礼を受けた。
これは一五六三年五月下旬、ダルメイダが口の津に会堂を造った頃のことである。丁度同じ頃に東の方では奈良で結城山城守と清原外記とが洗礼を受け、新らしい機運を醸成していた。どうしてこのように大村や島原のみならず畿内地方までが時を同じゅうして動き出したのかは、よくは解らない。しかし恐らくこの頃に、日本全国を通じて、戦乱時代の心理的な峠があったのであろう。同じ年に少し遅れて三河の国に一向宗一揆が起り、それが徳川家康の一生の運の岐れ目となっていることも、決して偶然ではないであろう。
七 横瀬浦の没落
大村純忠が受洗に際して仏寺破壊の問題にこだわったのは、決して軽い意味のことではない。一国の政治的権力を握るものの改宗には、この問題がつきまとうのである。ここに布教事業と政治的な争いとの絡まって来る機縁がある。純忠はこの点に用心したように見えるが、しかし「妬みの神」はその不徹底を許さなかった。
純忠が洗礼を受けたのは、その実家の有馬氏と竜造寺隆信との戦争の前夜であった。竜造寺隆信は肥前の少弐氏の部下であったが、今やその主家に代って肥筑地方に勃興し、有馬氏に圧迫を加えたのである。