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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
八 インカ帝国の征服
のみならずアタワルパは、当の相手のワスカルを、またその弟のマンコ・カパクをも、殺しはしなかった。従って右の如き残虐行為の物語は、むしろスペイン人自身の残虐行為に対する弁護の意図から、誇大されたものであろうと云われている。
八 インカ帝国の征服
インカ帝国が右の如き未曽有の大事変に遭遇していた時、ピサロは既にその第三回の遠征に於てペルーの海岸へ来ていたのである。
一五二八年ピサロが本国へ帰った時には、前にダリエン湾で彼が追い払ったエンシソに告訴されて、一時拘留されたりなどしたが、政府の命令で釈放されてトレドに赴き、カール五世に謁見した。王はドイツ皇帝として戴冠するためイタリアに出発しようとしている矢先であったが、ピサロのもたらしたペルーの産物やその探検談に動かされ、後援の意を示した。女王がその意をうけて、一五二九年七月、ピサロ、アルマグロ、ルケの三人に対し協約を結んだ。ピサロは新しい領土の総督として種々の特権を認められ、アルマグロはトゥンベス要塞の司令官、ルケはトゥンベスの司祭に任命された。ピサロと共にゴルゴナの島に蹈み留まった十三人もそれぞれ貴族に列せられた。