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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
五 豊後の教会の成長、慈善病院の経営
トルレスはこの時フェルナンデス、元琵琶法師のロレンソ、青年ベルシヨールなど、山口の教会の幹部をすべて同伴した。信者を守る人はあとに残らなかった。トルレスは間もなく山口へ引き返すつもりでいたのである。半年の後、十二月には、大内義長やその他の大身から山口に帰るようにとの書簡が来た。トルレスは早速領主大友義鎮の許可を求めたが、義鎮はまだその時期でないと言って許さなかった。翌一五五七年にはいよいよ毛利元就が山口を占領し、大内義長は自殺した。あとには毛利大友両氏の直接の対抗がはじまり、大友義鎮自身が幾度かの戦争の試煉を経なくてはならなかった。山口の教会を回復すべき機運は中々廻って来なかったのである。
五 豊後の教会の成長、慈善病院の経営
豊後の教会では、一五五三年以来、日本語の巧みなフェルナンデスがガゴを助けて、仏僧に対抗しつつ伝道をすすめた。ところでここでは、領主の保護があるといっても、身分ある人、事理を解する人の帰依は少なく、僧侶・富者・武士などは、頑固に旧信を守り、現在に執着していた。信者となる善良な人たちは多く貧民であった。そこでガゴは知識ある人々、身分ある人々の教化に力を入れようとしたのであろう。