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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
六 戦乱に対するフロイスの方針と惟政に対する讃美
そう彼は云った。
一五七〇年は信長を中心とする争覇戦がいよいよ始まった年である。この年の三四月頃には信長と家康とが揃って入京し、夏には北方の勢力朝倉浅井との衝突が始まった。その信長の入京の際に、和田惟政は高槻の城から信長に会いに来た。日乗らの仲間は、信長が惟政の首を斬らせるであろうと待ち構えていた。しかるに信長は、突然惟政を招き、多数の諸侯の面前で非常に情ある言葉をかけた。そうして美しい衣服を与え、領地を増してやった。これは日乗らにとっては案外のことであったが、その五六日後に、日乗は、他の人々から重罪の訴えを受け、信長の激怒に触れた。信長は多数の大身たちの面前で日乗を罵り、彼奴を足蹴にして追い出せと云った。その後も日乗は内裏修復の仕事にかじりついてはいたが、もはや信長の愛顧を得ることは出来なかった。日乗を中心とするキリスト教排斥運動はこれでほぼ終りを告げたらしい。
六 戦乱に対するフロイスの方針と惟政に対する讃美
日乗のキリスト教排斥運動は以上のようにして片づいたが、しかしすぐ引き続いて慌しい戦争騒ぎが起った。浅井朝倉に対する夏の戦争は、姉川で信長方が綺麗に勝ったのではあるが、それがきっかけとなって秋には一層大きい戦争が巻き起って来たのである。