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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
六 大村純忠の受洗
領主はダルメイダに選択をまかせた。ダルメイダの選んだのは、有馬侯が会堂用地として与えた地所にある大きい廃寺であった。これを掃除し、縁を造り、蓆をしくと会堂になる。翌日早朝百人ほどの人夫が集まり、仏像を運び出して、一日中に立派な会堂に造りかえた。この会堂でダルメイダはパウロと共に再び活溌な活動をはじめ、二十日ほどの間に百七十人の信者を作った。
六月の初めにダルメイダはまた島原に行った。ここでも旧城趾に会堂を造る活動がはじめられた。領主は地所附近の七十戸を住民と共に教会に寄進し、会堂建築用の材木を寄附した。また敷地の地均らしのために二十日間毎日二百人の人夫を寄越してくれた。ダルメイダは地所内の大石を運び出して会堂の門前に埠頭を造らせ、相当の船がそこへ直接に着けるようにした。
六 大村純忠の受洗
こうしてダルメイダが島原半島で活溌に開拓をやっていた間に、横瀬浦でも著しい事件が起った。
トルレスは復活祭の後四十余日、昇天祭の過ぎた頃に、大村に領主純忠を訪ねて、その地に会堂を造るようにすすめた。純忠は、自分もその希望を持っている、会堂を造れば領内のものは皆信者になると確信する、しかしそのためには仏寺を破壊する必要があるが、仏僧の勢力は中々侮り難いから、未だその時期ではない、と答えた。