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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
この大勢の下にトマスはアリストテレースの研究に入ったのであるから、アラビア学者からの影響は避けるわけには行かなかった。彼の師アルベルトゥス・マグヌス(1193 or 1208―1280)はアヴィチェンナのアリストテレース解釈の方法を学び、アリストテレースの著述を解り易く云い換えようと努めたが、しかしトマスはアヴェロエスの方法を学び、アリストテレースの言葉の意味を出来るだけ忠実に再現してその思想内容を把捉しようと努めたと云われる。これには異論もあり、トマスの方法は聖書解釈の方から来たと論ぜられているが、併しトマスのアリストテレース研究も最初アラビア哲学者の労作に基いたこと疑いないのである。然るにトマスのアリストテレース註釈の仕事の特徴はアヴェロエスに対する攻撃にある。彼はアヴェロエスを以てアリストテレースの真意に反し真意を誤るものとした。従ってアリストテレース哲学からアヴェロエス的解釈の殻を取り去ることが彼のアリストテレース註釈の主要任務とさえなった。アヴェロエスに対する烈しい攻撃が最初に現われてくるのは、Summa contra Gentiles であるが、これはスペインのアラビア人やユデア人の間に伝道するドミニカンのために論難攻撃の教科書として書かれたものである。