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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

だから右のような実力は、多くの武士団体を聯合団結せしめるところにのみ現われ得たのである。それは政治的手腕の問題であった。そうしてそういう手腕を持ったものが将軍になり、また有力な大名になった。結局、室町幕府の統制力は、有力な大名たちの聯合団結の上に、即ち大名の一揆の上に、立つことになったのである。これが一揆の必要を自覚せしめるに至った時代の大勢であるといってよい。しかしこのような統一の原理は、同時にまた争闘の原理ともなり得るのであって、真に統一を実現することは出来なかった。一揆のみが強い実力を発揮し得るということになれば、対抗する勢力は互に一揆を企てることになる。分裂が一揆によって促進される。応仁の乱は大名の一揆衆の対立によって惹起されたために、遂に収拾すべからざる混乱を現出したのである。

が右のように団結の力が自覚されてくると、それはただに武士団体の間の関係においてのみならず、一つの団体の内部においても働らくようになる。幕府にあっては、将軍の権力は大名の一揆の前に無力となった。室町幕府が最も有力であった足利義満の時代にさえも、義満は諸大名の一揆になやんでいる。