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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
そうして会堂の中央の小祭壇で、合唱隊の一部に唱わせながらミサを行う。それが終るとトルレスは引き込んでそっと服を変える。合唱隊がミサを唱いはじめる。「主よ、憐れみ給え」の章が終ると、トルレスが高らかに「高きにある神に栄光あれ」を唱い出し、合唱隊がそれに和する。その途端に黒布が切って落され、荘厳な祭壇が会衆の前に現出するのである。信者たちはまるで失神したように打たれた。翌日の朝には、日本で作った立派な天蓋の下に聖体を奉じて、美しい広い庭園の中を行進して廻った。天蓋は四人のポルトガル人が持ち、トルレスは晴れの服装に薔薇を飾った緑の冠をつけてあとに従った。次には香炉を持ち花冠を戴いたイルマン一人、その次にはいろいろな色の薔薇の花環を戴いたイルマン四人がオルガンにつれて歌いながら続いた。天蓋のそばには、ポルトガル人二人が松明を持ち、最古参の日本人二人が燭台に蝋燭を立てて持ち、さらに二人の白法衣を着たものが蝋燭を持ってついていた。この行列は庭を三度廻ったが、銃を持ったポルトガル人が十三四人いて、その度毎に聖体に対して祝砲を放った。この行進もまた信者たちには非常な感動を与えたが、しかしそれによって強い印象をうけたのは信者たちのみではない。