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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

それ位であるから、生けるものに対する説教も非常に発達して居り、説教師は通例極めて雄弁である。その上坊主は一般民に対する態度が真面目で優しい。パリサイ人の偽善を悉く備えている。だから一般人はそれらの宗旨を信じ、そこに救いの望みをかけるのである。

このようにフロイスは日本に行われていた宗教をすべて悪魔の仕業として説いているが、これは当時のキリスト教宣教師に通有の傾向であってフロイスに限ったことではない。ただフロイスがその「悪魔の仕業」を綿密に考察し始めたこと、それが著しく目立つのである。半月後に書いた二度目の書簡にも、京都の寺院見物について報告している。三十三間堂と東福寺とを見たのである。三十三間堂は今と大差はなかったであろうが、フロイスは千体の観音像の金箔の光が堂内に横溢している光景に感服したらしく、もしこれが異教のものでなかったならば、「天使の集団を想い浮べたであろう」と思われるほどに、仏像の姿が美しかった、と言っている。東福寺は今と異なり堂塔の揃っていた頃のことで、規模は非常に大きかった。フロイスはここでも、坊主の家や庭の清潔で整頓していることは、注目すべきだと言っている。