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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

二 キリシタン武士たちの努力

一五六五年の十月にドン・ジョアン・ペレイラの船は福田港を去った。そのあとでトルレスは、病気療養のため平戸から福田へ呼び寄せていたカブラルをイルマンのバスと共に豊後に移し、クリスマス後にはフィゲイレドを島原に派遣した。フィゲイレドはまだ日本語が話せないので、堺の人パウロが彼を助けて、一五六六年の四旬節、復活祭などを営むことになった。告解をきくためには、口の津からトルレスが出向いて行った。ダルメイダが基礎をつくり、フロイスが口を極めて賞讃した島原の教会は、こうして一時非常に隆盛になりかけたのである。(そのため翌一五六七年には烈しい反動を呼び起したのではあるが。)

有馬領の口の津や島原がこうしてキリスト教化して行くのを見た大村純忠は、頻りに宣教師の大村派遣を懇請して来たが、トルレスはそれに応じなかった。今はもう「手が足りない」からではない。敵地の平戸や、大村よりも新しい島原にさえ、神父を駐在せしめている。しかも日本で最初のキリシタン大名たる大村純忠の許へ宣教師を送らないのは、純忠の敵に謀叛の機会を与えないためだ、と説明された。従ってトルレスは、純忠が針尾地方を占領するまでは宣教師を送らない、と明白に答えた。