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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
この形勢の下に王子はインドへの航路の発見を意図し始めたらしい。特にインド洋に臨むアフリカの東岸、エチオピアの高原は、プレスター・ジョンの国として依然として強い引力を持っていたらしい。併し彼の送った最後の探検隊は未だなおニヂェル河上流地方を目ざしたものに過ぎなかった。即ち一四五七年にディオゴ・ゴメスがセネガルの内地に大河東に走れりとの報を齎したのを取上げ、ゴメスほか二人の下に三艘の探検船を派してガムビア河を遡上せしめたのである。この探検隊はカントルの町に至り、チュニスやカイロの隊商がそこまで来ること、シェラ・レオネの山々の彼方に大河東流せることなどを聞いて来たが、実地を踏査するまでには至らなかった。
王子はこれらの永年の探検に財産を蕩尽し、多大の借金を残して、一四六〇年六十七歳にして没した。アフリカの海岸は未だギネアにも到らなかったのであるが、しかしポルトガルの海国としての大きい仕事は既に彼によって基礎を置かれたのである。関門は既に突破された。あとはただ王子の個人的な仕事が国民的・全体的な仕事として成育し来るのを待つのみであった。そうしてその成育は極めて着実に歩一歩と進められた。