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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

で義統はカブラルに対して、(一)ドン・シマン親虎は保護するが、(二)キリシタン等が領主に対する義務を捨てても団結しようとしているというのは真実であるか、と質問を発した。カブラルは(一)の点を感謝し、(二)の点は虚伝であると答えた。そうして領主への義務に背けば完全なキリシタンではないということを詳しく説明した。それによってキリシタン武士の団結が一向一揆と同じ種類のものでないと立証せられたとき、妥協の緒もついたらしい。カブラルの出発の予定日が来る前に、宗麟は事件の解決を知らせて来た。親虎はキリシタンのままで父と和解し、依然として嗣子の地位を保つ。しかし父の感情を刺戟しないように、当分はあまり教会へは行かないことにする。キリシタンたちも喜びをあらわに表に現わすような態度は取らないでほしい、というのであった。親堅の感情を傷けないようにいろいろと配慮したのである。

この最初の解決は、一五七七年の六月の初めであったが、その一週間ほど前、五月二十五日の夜、宗麟夫人は猛烈な発作を起した。五六人でも押え切れなかったというのであるから、多分癪の差し込みであろう。丁度その頃に宗麟が一応夫人を押えつけ得たのであろうと考えられる。