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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

そういう考をこの狭い埋立地が具体化しているのである。

ドン・ゴンサロの四隻の船が長崎を出発する時には、混血児二百八十七人を乗せて去った。

この鎖国令を一層強固ならしめたのは、翌一六三七年末に起った島原の乱であった。

島原の乱の爆発した直接の動機は、信仰の迫害ではなくして苛政であった。しかし爆発する力を蓄積して行ったのはやはりキリシタン迫害である。島原半島の地はこの二十年来、想像に余るような残酷な迫害の血の浸み込んだところであった。殉教者は無抵抗の方針を堅持して来たが、それが心理的に与えた効果はむしろ逆である。それに加えて迫害者たちは、明白なキリシタンに対してのみ残虐であって一般領民には仁慈である、という如き区別の出来る人たちではなかった。迫害の心理はやがて彼らを暴虐な為政者たらしめる。そういう為政者の下にある下級官吏は、一般領民に対して一層苛酷な態度を取ることになる。従って、秘かに信仰を維持している民衆も、そうでない人たちも、その内心の反抗においては一つであった。その気運のなかで、小西の遺臣の子、天草四郎時貞という十六歳の少年に、特別の天命が下ったという風の信仰が燃え上って来たのである。