轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
春雪写山行「旅」1940(昭和15)年4月<br>黒部川峡谷の話「山岳 第十二年第一号」1918(大正7)年2月<br>枯木の美と怪「国立公園」1952(昭和27)年3月<br>雪山と廃道「山 二巻二号」1935(昭和10)年2月<br>七面山冬ごもりの記「山小屋」1947(昭和22)年<br>黒部川初遡行の追憶「山と渓谷」1939(昭和14)年7月<br>大雪山あれこれ「国立公園」1955(昭和30)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 页
昼間とはまるで違って、妖しげにも不思議な景色だ。どうしても、神仙譚中の世界に住するかの思いを禁め得なくなる。
ことに闇の夜更けなど、一人静かに湯に沈んでいると、瀬音は時に、おびやかすような高調子を出す。大地のシンの方から響けるかと思う、それは踵から頭へ抜ける。一度襲われた心には、音はどこまで高まって行くのか、知れない気がする。湧き出る湯のささやきまでが、どうやら強いて調子を抑えているのではないか、とも疑われる。何かしら身うちから忍び出て、闇の中を彷徨するものがある。たちまち谷水が増え、湯も溢れて、今にもあれ、この岩壁を蔽いかぶせ、暗い谷間にみなぎって、何もかも一切が、埋没され押流されてしまうのではあるまいか……そんなさらわれたような気持ちにもなる。それでいて、もとから私はこの深夜の、人気もない湧泉というものに、妙に心を引かれるくせがあって、しばしば三更、四更の峡底に、ひとりとぼとぼと降りて行ったものだ。
月夜の温泉の祭りの挿図
浴客は大がいこの近在の人たちだから、八月半ば、村々の盆休みには、かえって一時少なくなるが、その前後がいちばん温泉のにぎわう時季だ。