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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页
ことにその或る者が日向や越後の例のごとく、白髪であったと聴くに至っては、悠々たるかも人生の苦、彼らはたこれを免れえなかったのである。
名古屋で異人を捕えたという話は、『視聴実記』巻六に出ている。年代は知れぬが江戸の初期であろう。本文のままを次に抄録する。
「飯沼林右衛門は広井に住す。夜話の帰りに僕の云ふには、南の路より御帰りなさるべし。それは道遠し。何故にさは云ふかと叱すれば、御迎に来るとき、東光寺の壁の下に、小坊主の一人立ちて在るを見しが、一目見て甚だ戦慄せし故に、かく申す也と答ふ。林右衛門笑ひながら、さあらばいよ/\行きて見るべしとて行くに、果して十二三ばかりの小僧あり。物を尋ぬれども答へず。之を捉へ引立てんとするに、甚だ力強し。されど林右衛門も強力なれば、漸くに之を引立て、程近ければ我家に連れ帰り、打擲をすれども曾て物を言はず、且つ杖の下痛める体も無く、何とも仕方無ければ、夜明けて再び糾明すべしとて、厩に強く縛り附け置きしに、朝になりて見れば、何処へ行きけん其影も見えざりき。或は云ふ打擲の間に只一声、あいつと云ひし故、其頃世間にては之を『あいつ小僧』