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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
「荊棘、密林のことゆえ、これまた一日二日の仕事ではない、とっくりと腹をすえてかからねばなりませぬ、どれが先でも後でもないが、秩序を立てて、この途通ぜざれは再びまみえぬ決心にて、――先導の測量係りには、はばかりながら拙者その長として戸田どの、富内どの大滝どの、千葉どの、早坂どの――」
呼ばれたものは一足前に出た。
「――第二には小屋係り、この長は、僭越ながら指名のお許しを願って、矢内亀之丞どの、第三の道路係りとして関重之進どの、よろしく、ここの係り最も重要な本部隊なれば、税庫の落成次第門田与太郎どのの一隊がこれに合する筈、第四に炊事係りとしては遠藤丹次どの、第五には物資の運搬ならびに連絡係りとして――と」
彼は涸いた唇をなめてあたりを見まわした。大沼喜三郎を宛てるつもりでいた。彼はそれを阿賀妻に連れて行かれていた。
すッと前に出たものがあった。見ると相田清祐であった。すげ笠のかげで、彼の白髪はいぶし銀のように清々しく光っていた。
「拙者ではどうでしょうかな?」
彼はそう自薦するのだ。
「相田どの、あなたは――」と云っただけで大野順平は吃ってしまった。考えたことがすばやく言葉にならないのであった。